立山の思い出 その2
知らないうちに他人に迷惑をかけていませんか?
5月ゴールデンウイークが終ると思い出すことがあります
ず〜とず〜と昔の思い出です もう時効だと思います(^^;
さて意気揚々と出発したスキーですが(実際はもっと気楽でしたが)
3時ごろ黒四ダムに着いて4時ごろには帰ってきて夕食には間に
合わせるつもりで山の装備もそんなに重きをおいていませんでした
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コース図 |
目印の山荘 |
山には雪沢山ありますが降りていくと残雪になってます「一の越し山荘」を
右に見て下ります
天気も良くのんびり滑ります 途中景色の良い所でお弁当を食べる余裕もありました
さて出発です
まだまだスキーは下手ですだんだん雪が少なくなってきてクレバスが現れます
まだスキーが下手なので少しビビリます 気をつけて降りてきます
が、が、が、が、が、
だんだん雪が少なくなってきて(標高が低くなってきていますので)危なくて滑れません
クレバス(雪の割れ目)に落ちたら大変な目にあいそうです しかしスキーは脱げません
もし靴でスノーブリッジ(上は雪で覆われていますが下は水が流れている)を
踏み抜いたら命がありません(^^; (こういう事故の事例は結構あります)
ど・う・し・よ・う・
退却!君子は危うきに近寄らず くわばら、くわばら
さてそう決まったらスキーを脱いで靴を履き替え登り返す支度をします
ハイ松と雷鳥
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春雷鳥 |
冬雷鳥 |
滑って降りるのは簡単ですが歩いて登るのは大変です
とぼとぼと登っていくとハイ松に雷鳥が見えます
この雷鳥ってとんでもない声で鳴きます「グェグェ」「モギュー」など一見(聞)牛かと思います
また雷鳥は鳥のくせに飛べません 斜面を滑走します それでも50mぐらい飛び?ますが
観光で見る分には楽しいでしょうが毎日会っていると飽きてなにも感じなくなってきます
よく観光客が餌をやるシーンがテレビなどで放送されますが、いかがなものでしょう
「ハヒ〜ホヒ〜」
何時間ぐらい登ったでしょうか日が暮れてきました ちょっと心細くなった頃
一番星とともにようやっと一の越し山荘の明かりが山頂がけよりに見えました
(約3kmぐらいでしょうか)
暗くなるまでに山荘に着けるか? 山の日が暮れるのは早いです
もし到着する前に暗くなると最悪です明かりの類は持っていません
「ビバークしよう」
幸いハイ松がいたるところにあります よさそうな茂みに潜り込みます
雷鳥がうるさいです 無視します(^^)
5月末といえ山ですから夜は冷えます 持っているもの総て着こみます
最後はリュックを広げて両脚を突っ込みます(この辺の経験はあります)
お弁当で残っていた「鮭の骨」や「梅干のタネ」や「おにぎりの米粒」などを
食べて飢えをしのぎます(捨てないで持って帰るつもりでした山の常識です)
命の危険はないもののやはり冷えて寒いですそれでもうつらうつらと
2〜3時間は寝たでしょうかうっすらと夜が明けてきました
とはいっても本人はいたってのんびりしていましてこんなことも楽しい経験だよね
ぐらいしか思っていませんでした
「さあ出発だ〜」
さすが仮眠をとったからでしょうか 元気回復しています(^^)
あれほど遠くに見えた一の越し山荘もあっという間に過ぎました
室堂ターミナルまであと一息です従業員バスに乗れば今日の仕事に間に合うかな
と今、考えれば気楽!の一言です その頃仕事場では大変な事になっていました
こんなに雪がありませんでしたが
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室堂ターミナル |
従業員バス |
朝6時ぐらいでしょうか バスターミナルで眠っていると(暖かくてようやっと人心地ついている)
「・・・鈴木さん 鈴木さんですね 鈴木さん 大丈夫ですか」
誰かが夢の中で名前を呼んでいる 「はてな?」「はい 鈴木ですけど」
「よかった無事で 体は大丈夫ですか とりあえずこちらへ来て下さいな」
「・・・?」言われるままに裏手の小屋に連れて行かれる 大きな木の縦看板を見ると
「富山県山岳救助隊室堂支部」とある 中に案内されると山支度をしている人達が
ピッケルやアイゼンの手入れをしている・・・???
山岳救助ヘリコプター「つるぎ」
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つるぎ号 |
アイゼンとピッケル |
もう少し遅かったら飛んでいた救助ヘリコプター
奥の隊長部屋に案内される 隊長さんと挨拶 早速昨日のことを聞かれる(調書を取られる)
「あれがそれでだからあれで、結局ハイ松の中でビバークをして一晩過ごしました」
しばらくすると会社の偉い人が迎えに来ました 「ヒェ〜 えらいことになっている」
その頃ようやっと事態が大変なことになっていたのに気が付いてきました(^^;
そうなればあとは事が過ぎるのを神妙にして過ごしました 「大変申し訳ないことをしました」
ちなみに費用は ヘリコプターチャーター料 約50万円(県警ヘリの場合は無料)
山岳警備隊日当代が一人一日約3万円 などなど
山で遭難するとすぐに200万〜300万かかります
遭難騒ぎの鈴木
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ミスコース |
トラバース |
赤いコースが正規の道 青いコースが今回のミスコース
職場に戻ると「遭難の鈴木」と呼ばれていました本人は「遭難騒ぎの鈴木」と言ってましたが
本人はこんなに大騒ぎになっているとは思っていませんが噂は立山中に響き渡っていました
よく遭難した人がインタビューで
「なんでこんなに大騒ぎをしているのか 自分達は自力で下山できたのに」
などとほざいていますがやはり人の迷惑は考えましょう ここは神妙にしていましょう
あとで聞いたところ本当のスキーコースは赤線のように一の越し山荘で
トラバース(横に歩くこと)してから滑り降ります
ま、きちんと話を聞かなかった自分が悪いのですが
「なんであの時教えてくれなかったんだ!」
などとは決して思いません(かな?)
昔同じように山歩きに行った女の娘が行方不明になって最後まで見つからなかったそうです
山をなめてはいけません
5月の連休が終わって梅雨に入って雨が降ると思い出すことでした
あの時お騒がせした方々 大変申し訳ないことをしました
さて梅雨も終わって夏が近づいてくると今度は夏山シーズンです
仕事の合間をぬって立山連峰や雄山山頂に何回も遊びに行きました
勿論地図やコースはきちんと調べて荷物も厳選して持っていきます
山は本当に良いものです(^^)
「立山の思い出その3夏編」 をどうぞ