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フレッシュマン諸君へ

4月になると思い出すこと

昔昔(もう数十数年前)茨城のある街に住んでいた頃のお話です

土曜日の午後ある喫茶店で(その頃はファミリーレストランはあまりなかったです)
遅いランチを食べていたらちょっと離れた席でなにげない会話が聞こえてきました

男: 「じゃあ 次を呼びます 彼は長男で両親と住んでいます 名前は松下君です」
女: 「分かりました それではお願いします」


なんとなく横目で見るととても綺麗なキャリアウーマンという感じの人が居ました
しばらくすると松下君と思われる男が入って来ました

ここは Vの大工場 があって住民のほとんどがなんらかの関係があるといわれてます
(松下君、ひと目見て新入社員らしいういういしさがありました)

水: 「松下君ですね 初めまして 寮生活はどう?もう慣れた」
松: 「ええ、皆良い人でなんとか」
水: 「仕事の方はまだ研修期間なのよね早く本採用になってバリバリ働かなくてはね」
松: 「え〜そうですね」

水: 「ところで松下君 家から出るときに色々な物を持ってきたと思うけど
   自分の銀行口座って作ったの?」
松: 「ええ、給料振込みになるので自分の口座を作りました」


うむ、保険の勧誘かな 何を薦められるのだろう(^^;面白くなってきたぞ

水: 「そのときに銀行印を作ったの?」
松: 「銀行印ですか? いえ家にある適当なものを使いました」

水: 「じゃあ実印なんかも持ってないの?」
松: 「実印はまだ必要ないので作っていません」

水: 「あら、松下君それは違うわよ こうして就職しているんだし
   一人暮らしをしているのだからもう立派な社会人よ
   一人前になったんだからきちんとした実印ぐらい持ってなくては」
松: 「そうなんですか」

水: 「だって車買うときにも必要だし、寮を出てアパートを借りるにしたって必要よ
    今後絶対必要になるから実印ぐらい持っていなくては」
松: 「そうですね」

水: 「大人になったら「実印」と「銀行印」それから、「認印」を使い分けなくてはね
   一式揃えておけば一生ものだし悪用されないわ、それに格式が違うもの」
 松: 「そうですね」


「実印」と「印鑑登録証」(2000年当時)

象牙の実印 印鑑登録証

実印とは個人が市町村に役場に登録した印鑑をいいます


水: 「実印とはねあなたが市役場に登録した印鑑のことを言うの。例えば松下君が車を買うとするわね
  その時に車は個人財産なので印鑑が必要なんだけど 三文判だと本人という証明がなされないでしょ
  登録した印鑑登録証と実印があれば間違いなく本人が意思をもってその書類の内容を承諾したことになるの

  ちょっと難しいけど実印はそれだけの責任があるの

  社会人になったのだから「実印」とちゃんとした「銀行印」それから普通の「認印」ぐらい持たなくちゃ」


もう何回も言ってるのでしょう 名演説です(^^)
松: 「そうですね」
水: 「それでね 私が紹介できる処があるの ここなら普通の半額で作ってもらえるわよ
  セットで購入できるの 良いチャンスでしょ」

追加(自分のですが)

銀行印 三文判

あは〜ん 綺麗なお姉さん印鑑屋さんのセールスか(^^)松下君だまされて高いもの買うなよ

水: 「カタログあるけど、象牙のセットで30万円! 勿論ローンもできるわよ」
松: 「いや〜30万円はちょっと払えませんよ」

水: 「じゃあこの10万円のものはどう?普通なら象牙の実印だけで20万円ぐらいするものよ
  今だから10万円のセットで買えるけど普通なら20万円以上するものなの

  10万円なんて月1万円で10ヶ月一年もしないうち終わるし月に1万円なんて
  一日300円のコーヒー一杯分の値段よ これで一生使える象牙の立派な印鑑が揃うのだから

   こんなチャンスは絶対ないわよ!


―――― ちょっとした間 ――――

松: 「じゃあ この10万円のにします」
水: 「この用紙にあなたの名前と住所 実家の住所とお父さんの名前を書いて下さい
   ローンを組むのなら書類を送るけど」
松: 「いえこのぐらいなら貯金がありますから現金で払います」
水: 「そう分かったわ じゃあこちらの用紙にサインをしてちょうだい
   印鑑登録証の取り方も書いてあるから」

うむ これで10万円コースのお客さん一名獲得か(^^)


松下君帰ってからしばらくすると先程の男の人が来ました

男: 「次は、東芝君です 彼の家は農家でおばあちゃんと両親5人暮らしです 次男です」
水: 「分かったわ じゃあお願いね」

しばらくすると東芝君と思われる男の子が来ました

水: 「東芝君ね 初めまして 寮生活はどう?もう慣れた?」
東: 「え、いや〜まだまだですね」

水: 「仕事の方はまだ 〜〜〜 〜〜〜 −−−−−−−−−」

先程の会話がまた続きます

東芝君はお金がないらしくそれでも「5万円のセット」を購入しました
こうやって新入社員を狙って一本釣りをしているようです

美人だし、セールストークも上手いし、これじゃ買ってしまいます

先程の男性は寮の先輩らしいですが「紹介料」いくら貰えるんだろう
本当に上手いこと考えたものです

今で言うキャッチセールスの変形ですか(キャッチセールスそのもの?)

今なら結構安くちゃんとした「実印銀行印のセット」が買えます
松下君も東芝君もあれからどうしたんだろう 新社会人の入門編と思ったのかな



後年(それからずっとあとのこと)自分の実印を作るときその時のことを思い出しました
でも実際自分の実印を作ると社会人の責任というものを感じます  (大げさですが)

よく考えてみるとあのお姉さんの言っていることは間違っていないし
新社会人になった証拠として 印鑑セットを揃えたことは意義あることです


まあちょっと高い授業料だとは思いますがね(笑)

4月が近づいてくると思い出すお話でした ではまた



思い出シリーズその4(続ハンコのお話です)

「幸運を呼ぶ印鑑」 印鑑シリーズ2です




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